第47回 落下弁当


 私は今猛烈に自分が怨めしい。なんという失敗をやらかしてしまったのだ。
 仕事から帰ってくるのが遅いゆえ、晩飯はたいていコンビニエンスストアの弁当で済ます。これは以前にも書いた。
 たいていは端末に向かってウェブ上を徘徊しながらの食事となる。いわゆるインターネット飯である。昼食時に会社でこれをやっている人も多いと聞く。ほら、あなたもそうですね。
 コンビニエンスストアの弁当には小さな容器に入った醤油やソースがついていることが多い。これをおかずにかけるためには弁当の箱を一旦どこかに置く必要がある。これまではディスプレイを置いた棚板前前方の僅かに張り出したスペースをそれに使用していたのだ。
 ところが、だ。
 以前に四千八百円でマッキントッシュ2Siという機械を買ったと書いたが、実はこれがちゃんとディスプレイにつながらなかった。マルチスキャンのディスプレイにマック用のアダプタを噛ましてもうまく映らない。あれこれ何度も試して、電源をがちゃがちゃやっているうちに内蔵のハードディスクを壊してしまったようで、そのうち起動すらできなくなってしまいずっと放置しておいたのだが、先日中古のハードディスクを購入して復活させたのである。で、今度は別のディスプレイへの接続を試したところあっさり表示できてしまった。このディスプレイは別のマシンで単独利用していたものなので、ディスプレイ切替機も必要となり購入してしまった。なんということだ。たかだか四千八百円の機械を動かすのに、ハードディスク三千八百円、ディスプレイアダプタ千九百円、ディスプレイ切替機千四百円の計七千百円の出費である。安物買いの銭失いとは俺のことか。海老で鯛を釣るともいう。全然違うか。
 そんなわけで、それまでスペースがあったディスプレイ前にこのマックのキーボードを設置した。現在私の眼の前にはキーボードが三つ並んでいる。左の机には二つだ。右側にも二つ並んでいる。どうだ。キース・エマーソンも吃驚だ。私だって伊達にキースを名乗っているわけじゃない。
 悲劇はこの弁当置きのスペースがなくなったことである。秀樹は西友である。
 弁当に醤油をかけようとして、置き場のないことに気づいた。ふと横を見るとマウスが四つ並んでいる。私は深く考慮することなくそのうえに弁当を置いた。そして醤油の容器の口を捻ったのだが。
 マウスの形状はご承知だろう。基本的に奴は丸みを帯びているのだ。丸いものの上に置かれた物体はいささか不安定になる。弁当の箱はマウスの上から滑り落ちそのまま床に落下していったのだ。ちなみにマウスのひとつは昔のマッキントッシュ用の角型であったのだが、それが滑降を抑制するのに何の手助けにもならなかったことを書き添えておきたい。
 マーフィーの法則であったろうか、ジャム付きトーストが何故いつもジャムの塗布面を下にして落下するのかという考察があった。私は本日発見した。弁当だって、さまさまに落下するのだ。そんなことを発見してしまったのだ。なんてこった。
 アルキメデスではないのでエウレーカとは叫ばなかった。代わりに「えれえこっちゃ」と叫んだ。関係ないが、伊丹さんが亡くなった。ものすごい作品を次々と撮りあげた私の好きな監督であっただけにたいへん衝撃だった。
 弁当の落下していった先には、先日買った、これからの時代を担う青色LEDがあった。静電気に弱いLED様であるが、弁当にはどうなのだろう。袋に入っているので恐らく大丈夫だとは思うのだが。たぶん、このLEDは世界で唯一にして無二の弁当に攻撃されたLEDであろう。ちなみにこないだ書いたLEDの極性であるが、早速親切にもメールを下さった方があり、解決いたした。長い方がアノードなのだそうだ。たおかさん、ありがとうございます。

 本日のまとめ
 1.マウスの上は不安定である。物を置くなかれ。
 2.弁当はさかさまに落下する。
 3.LEDの足は長い方がプラス。
 4.秀樹は西友である。
 5.どうでもいいけどこの空腹をどうすればいいのか。


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1997/12/27
文責:keith中村
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