第302回 黄色いレンガの道


 素敵な魔法使いに 逢いにゆきましょう
 魔法使いの中の魔法使い オズの魔法使いに
 だってだってだってだってだって 願い事を叶えてくれるんだから

「ああん。ああん。しくしく」
「あら、ライオンさん。どうしたの」
「おいらは勇気がないのさ。ライオンなのに。ええん、ええん」
「じゃあ、オズの魔法使いにお願いしてみれば」
「え」
「おれは智慧を授かりにゆくんだ」
「私は心を」
「わたしはお家に帰してもらうの。きっとあなたにも勇気を与えてくれるわ」
「ぐすん。ほんとかな」
「ええ。きっと」
「よし、おいらもゆくぞ」

 素敵な魔法使いに 逢いにゆきましょう
 魔法使いの中の魔法使い オズの魔法使いに
 だってだってだってだってだって 願い事を叶えてくれるんだから

「うしうし。うしうし」
「あら、河童さんだわ」
「うしうし」
「こんにちは、河童さん。わたしはドロシー・ゲイルよ」
「やあ。ルックルックこんにちは」
「河童さん、あなた出てくるところ間違ってるんじゃない」
「え」
「あなたのお仲間はお猿さんと豚さんとでしょ」
「う。うう。ええん、ええん」
「どうしたの」
「実は、えらい借金背負っちゃって、仲間から干されちまったんだ」
「まあ。干されたら大変ね、河童だけに」
「仕方なしに始めようとしたラーメン屋も軌道に乗らなくって」
「可哀相に」
「ああん。仕事がほしいよお。仕事がほしい」
「それなら、オズの魔法使いにお願いしにゆきましょうよ」
「その魔法使い、仕事くれるかな」
「大丈夫よ」
「うしうし。じゃあ、一緒に連れてってください」

 素敵な魔法使いに 逢いにゆきましょう
 魔法使いの中の魔法使い オズの魔法使いに
 だってだってだってだってだって 願い事を叶えてくれるんだから

「しくしく」
「あら。あんなところで誰か泣いてるわ」
「ええん。ええん」
「あなたはだあれ」
「僕は駄目な大学生だい」
「どうして泣いてるの」
「だって、単位が足りないんだ。これじゃ留年しちゃうよ」
「じゃあ、オズの魔法使いにお願いしてみれば」
「え。単位くれるの」
「きっとくれるわ」
「フランス語と社会学と数学概論だけど、大丈夫かな」
「一般教養ばっかりじゃないの。あんたって駄目な大学生ねえ」
「ええん。だからそう言ってるじゃないか。めそめそ」
「ああ、もう。泣かないで。わたしたちと一緒にゆきましょう」
「うん。じゃあ、僕もゆくぞ」

 素敵な魔法使いに 逢いにゆきましょう
 魔法使いの中の魔法使い オズの魔法使いに
 だってだってだってだってだって 願い事を叶えてくれるんだから

「何だか、大所帯になってきたわ」
「そうだね」
「わいわい」
「がやがや」
「うらうらー。女がほしい。女を貰いにゆくぞ。くれないと、ドロシーをやっちゃうぞ」
「俺は金だ。金をくれー」
「なにとぞ。何とぞ、清き一票を」
「うちのポチ知らんかのう。トガリネズミのポチなんじゃ」
「急募女子工員年齢三十歳未満賞与年二回交通費全額支給」
「ハンバーグが食べたいでおじゃるよ」
「俺にカレーを喰わせろ」
「アンデスのお母さんに逢いたいよ」
「口笛はなぜ遠くまで聞こえるの。教えてお爺さん」
「あ、あかん。小さな大名行列見えてきた。早よ、酒くれ」
「大丈夫よ。あれは大名行列じゃなくってマンチキンだから」
「ロバート・ジョンソンの未発表曲を」
「『碧洋のハート』を手に入れるんだ」
「友だちのおうちはどこ」
「ET、フォーン、ホーム」
「ああ、もう。仕方がないなあ。わたし、MGMの専属契約なんだから。ユニバーサルの関係者なんか連れていったら、叱られちゃうじゃない」
「わいわい」
「がやがや」

 素敵な魔法使いに逢いにゆきましょう
 魔法使いの中の魔法使い オズの魔法使いに
 だってだってだってだってだって 願い事を叶えてくれるんだから

「もしもし。そこなお嬢さん」
「またよ。はいはい、こんにちは」
「わたしゃ、しがない雑文書きです。しくしく」
「で、あなたはどうして泣いてるわけ」
「それが、めそめそ、もうすっかりネタがないんです。しくしく」
「あら、まあ」
「だから、私も魔法使いのところへ連れてってください」
「んー」
「どうしました。なんで腕組みしているんですか」
「いやあ、やっぱり、さすがに、そればっかりは」
「何ですか」
「どうしようもないんじゃないかしら」
「ぎゃふん」


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2000/01/11
文責:keith中村
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