第248回 山号寺号


「暇やねえ」
「暇っすねえ」
「しゃあないなあこうなったら山号寺号でもするしかないなあ」
「なんでそうなるんですか」
「まあ、ええやないか。ほれ、ひとつ言ってみなさい」
「あんまり乗り気がしないなあ」
「言えいうたら言え」
「じゃあ。ええと、お母さん今何時」
「こらっ」
「ひい」
「お前、やる気あるんかっ。それでも日本男児かっ」
「ひいい」
「お父さんはお前をそんな男に教育した覚えはない」
「教育された覚えもありませんけど」
「つべこべ言うな。まあ、ええ。俺が手本見せたる」
「はあ」
「久保田さんソーセージ」
「……なんですか、それ」
「テレビで宣伝やっとるやろ。踊りながらソーセージ喰ってはる」
「ああ。これがほんとの踊り喰いいうやつですね」
「そんなことはどうでもいいねん。とにかく素晴らしい手本やないか。な。ほれ、お前も見習って何か言いなさい」
「んー。大槻さんケンヂ」
「そのままやなあ。そんなんなんぼでも作れるぞ。小沢さんも健二」
「その叔父さん征爾」
「東郷さんも青児」
「ハリソンさんジョージ」
「バニラさんファッジ」
「クアトロさんスージー」
「マハトマさんガンジー」
「HAL9000さんデイジーデイジー」
「ジミーさんペイジ。なんか発展がないなあ」
「では、ヤマさん刑事、なんてどうですか」
「ああ。いいねえ。赤かぶさん検事ってのもある」
「伊豆諸島産ムロアジ」
「広島産大しゃもじ」
「ドレッドさんジャッジ」
「あの映画、むちゃむちゃしょうむなかったなあ」
「アメリカで大人気やったそうです。やっぱあいつら頭わる過ぎですよ」
「ケンシロウさんあべじ」
「うまいっ。吝嗇んぼ爺さんスクルージ」
「ディケンズですね。天保山ハーバービレッジ」
「そんなもん関西人にしかわからんやんけ」
「マーチンさんスコシージ」
「スコセッシやろ」
「『タクシー・ドライバー』の頃はそう表記されてましたから」
「スタンリー・カブリックちう表記もあったなあ」
「谷崎さん卍」
「桃太郎さん犬猿雉」
「こんにちはあ。って、ああ、やだやだ」
「何だ。どうして来るなり文句垂れてる」
「だって、そうでしょう。いっつもこうじゃないですか。予定調和的に最後に僕が登場する」
「あっ。お前、なんてことを」
「毎度毎度のワンパターンじゃありませんか。この作者も、いい加減僕を出して落ちをつけるのはやめてほしいなあ」
「そういうメタな発言をしてもいいのか、こら」
「そりゃ、あんたは作者人格だからメタな発言で構造が破壊されるのは困るでしょうけど」
「やかましいっ。ここにいる限りはお前もこの文章のレベルにいなければならないのだ。真面目に参加しろっ」
「あーあ。駄目人間の癖に真面目とか言ってるよ」
「つべこべ言わずにお前も山号寺号をやるのだ」
「そうなのだ」
「はいはい。仕方がないなあ。それじゃあ、一二三漢数字」
「こらっ。発語してる前提の文章でそういう視覚的なものはよせ」
「Ichi−Ni−Sanローマ字」
「やめろというのに」
「I II IIIローマ数字」
「こら」
「■■■機種依存文字」
「あああっ。Windows環境外の方すみませんっ」
「わははは。いい気味だ」
「くうっ。もう許さん。お前なあっ。このやろくぬやろくぬやろ」
「痛いいたい」
「ぽかぽかぽかぽか」
「ひい」
「おらおらおらおらあ」
「ひいいい。すみません。すみません。私が悪うございました」
「はあ。はあ。ぜい。ぜい。メタなことするからこんな目にあうんぢゃ。参ったか」
「はい。参りました。お許しください」
 私はにやりと笑った。「なかなか素直だな」よかった。これで落ちがつく。
「これが降参よい返事というやつだ」


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1999/08/01
文責:keith中村
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